衆議院経済産業委員会 ()

○谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。
大畠経済産業大臣、就任おめでとうございます。大臣とは、私は参議院、大臣は衆議院議員ということで、当選したのも同じような時期、また、一緒にソ連へ視察をしたり、時には神保町で一緒に居酒屋で飲みながら、この日本の国の将来を熱く語ったことをきのうのように思いますし、また、この間、民主党の中でしっかりと地道に努力をされて、今回大臣になられたということで、私も心よりうれしく思っている一人であります。
さて、最近、私も、喜怒哀楽というものをいつも考えて生きたり、人はいかにして生きるかということも時たま考えたりするんです。野党になってから余りいいことがなくて、おもしろくないなといつも思っているわけでありますけれども、最近、チリの鉱山における三十三名の救出劇というのか、かつてなく感動しました。ちょうどあれは参議院の予算委員会のときでもございましたけれども、実はテレビにかじりつきになりました。
なぜ感動したのかといったら、やはり、地下七百メートルのところで三十三名の皆さんが閉じ込められた、生と死と、そのはざまに生きている、そういう中で強い希望を持って生きていくということ。その中におけるリーダーが皆さんを激励しながら、多分、結束をしてきたんだろう。また、家族もしっかりと応援されたことが放映をされましたし、また、大統領も、あるいは担当大臣も、国を挙げてこの救出に当たった。ここに我々政治家として、この日本の国も、今円高で、あるいは閉塞感の中で、どうしたら日本が冠たる日本として生きていけるのか、こういうことですから、これは非常にリーダーシップ性が問われると思います。
私は、ぜひ、尊敬する大畠経済産業大臣ですので、強いリーダーシップが必要だと思いますので、まず冒頭、このチリの救出劇、大臣はどのように思われて、どう感想を持っておられたのか、そのあたり、少し生の声を聞きたい、こう思います。

○大畠国務大臣 谷畑議員から御質問をいただきまして、大変恐縮でございます。
私も、谷畑議員と一緒に当選をさせていただき、今日までいろいろな形で仕事をさせていただきました。谷畑議員らしい冒頭の御質問でございます。
実は、私も、このチリの鉱山における落盤事故で三十三名の方が閉じ込められたということについては大変気をもんでおりました。暗い話題が多い、あるいは心配事が多い中でありますが、何とかこの三十三名の方が救出されることを私もずっと願っていたわけであります。その最中に、岐阜県において中小企業大臣会合というのがありまして、チリからも代表の方がお見えになっておりました。私は、その会合の朝のときに、APECに参加された方々とともに、三十三名が無事救出されることを冒頭にみんなで祈念しようじゃないかという発言もさせていただきました。
そして同時に、毎日毎日、世界じゅうがかたずをのむ中で、救出劇を待っておったんですが、一番私が心を打たれたことは、リーダーが、救出される番としては自分は一番最後にする、こういうことを自分自身から申し出て、一番最後に地上に戻られた。あの光景については、大変私は強い感銘を受けました。リーダーとはどうあるべきなのか、そういうことをいろいろと勉強させていただくことだったなと思っております。
私も、今回のチリにおける落盤事故、そして三十三名が無事全員救出されたということについては、深い感銘を持って受けとめましたし、私自身もいろいろ学びながら今後とも努力してまいりたいと思います。

○谷畑委員 今、大畠大臣がおっしゃったように、強いリーダーシップ性というのが今日ほど大事なことはないのではないか、こう思うんです。
今まで日本の大臣という中で、もちろん総理大臣が一番重い責任があるんだな、こう思うんですけれども、その次に、昔は大蔵大臣。そして経済産業大臣、通産大臣。とりわけ通産大臣という位置は非常に高い位置であった、こう思うんです。ところが、最近、通産大臣あるいは経済産業大臣というのは、なかなか影がもう一つ、大畠大臣のことじゃなくて、この間ずっと弱くなってきているような感じがしてならないんですね。
だから、そういう意味では、今回、経済産業大臣というのは、新聞記事あるいはニュースを見ても、経済産業大臣の管轄のことが毎日のように出てくるんですね。円高であるとか景気が悪いとか、こういうことが出てきますので、私は、強いリーダーシップがやはり必要じゃないかと。時には孤独に決断をして、そしてその決断に対して、実行していくために徹底的な、味方をたくさんつくって、そして時には総理大臣と刺し違いするぐらいに力強いリーダー性をぜひ発揮していただきたいな、こういうふうに実は私は思うんです。
次に、円高が日本経済に与える影響という、私どもも各地の企業を回っておりましたら、大体企業は五つの苦というのか、そういうことに見舞われているというのか、よくおっしゃいます。
その一つが法人税。いつの間にか、日本の法人税は実効税率四〇%、これは韓国から見ても、最近ドイツもぐっと下げてきました、これは大変重いと。日本の企業、こんなのでは日本ではやっておれぬ、こういうような声を聞くんです。
二つ目は、製造業の派遣の原則禁止という法案が次々と、まだ法案自身が通っておりませんけれども、しかしそれがいつも議題になってくる。すべての派遣が禁止だということになってきたら、製造業というのはもう成り立たない、こういう話です。日雇い労働の派遣だとか、そういういろいろと改善しないといかぬ問題は実はたくさんあります。ありますけれども、これはまた労働問題で、さらに各論を含めて議論をしていくべき重要な問題だとは思うんだけれども、企業にとってみたらそういうようなイメージになる。
それから三つ目は、何といったって、今議論になりました自由貿易協定だとか経済の連携だとか、これがやはり出おくれているんじゃないか、こういうことも三つ目としてあると思います。
そして四つ目は、CO2二五%削減。これはもちろん、今日、環境というのか、地球全体を守らなきゃならぬというのは当たり前のことで、我々も非常に大事なことだとは思うんだけれども、日本もそれぞれ、この間物すごい努力をされて、CO2削減のためにやっておるわけですけれども、二五%と言われるとちょっときついんじゃないかと。はっきり言ったら、もう日本では工場を維持できないな、こういうことがよく言われます。
最後のとどめは、何といったって円高ですね。これが中小企業にとってみても、もうできない、こういうようになってきているんですね。それが、日産が、あの大衆車である日産マーチの生産拠点をタイに移す、あるいはパナソニックの家電の海外生産を、マレーシア、中国、メキシコで増産をする、こういうふうにして海外シフトの記事がずっと出ている。こうなると、自動車の関連事業の中小企業、海外に出ていくことのできない中小企業がたくさんあります、そういうところは将来に対する物すごい不安を持つわけなんですね。
それで、最近、日本の経団連がこう言っています。このまま製造業が生産拠点を海外に移転する動きが続けば、今後五年間で約六十兆円の国内需要と三百万人規模の雇用機会を失う可能性がある、こう言っています。円高がこのままずっと続けば、今後五年間で三百万人の規模の雇用を失う。菅総理は雇用、雇用と言っていますけれども、六十兆円の国内需要を失うということを言っているんですね。
そこで、通産省として、経済産業省として、私が今言いました五重の苦の、経済界が思っていること、企業を経営している方が思っていること、そういうことについて、基本的な認識、どういうふうに大畠大臣は考えておられるか、そういう基本認識についてちょっとお聞きをいたします。あるいは副大臣でも結構です。

○池田副大臣 谷畑議員の中小企業育成、いろいろやってこられたことを私もよく承知をしております。
今、谷畑さんがおっしゃった、日本の、とりわけ中小企業が不振の原因を挙げられましたが、円高、法人税、派遣、CO2、いずれも大きな問題でございますが、これはむしろ、阻害をしている要因というふうにとらえるよりも、課題であると。課題設定というのがありますね、最近よく使われているアジェンダセッティング。今のこの時点で、我々政治をやる者にとって、これらは大きな課題であると私は認識をしております。
たくさん挙げられましたので、それぞれについて発言はできますが、そういう総論的なお答えをまずはさせていただきたいと思います。

○谷畑委員 いずれにしても、円高の問題は経済産業省だけで解決する問題でもないし、もちろん国際的な通貨の問題でもありますし、非常に難しい問題だと思うけれども、担当である経済産業大臣としても、これは非常に大事に、関心を持っていただかなきゃならぬ。また、日本の財務省も、一番担当するところでありますから、これから海外の国際会議がありますから、しっかり日本の国益の立場に立ってそういう発言をしていただくことが非常に大事だ、こう思います。
どうぞ副大臣、ありましたら。

○池田副大臣 質問者と目が合って、つい立ってしまいました。失礼いたしました。
円高は大変深刻でございます。企業の想定レートを考えれば、この状況ではやっていけないというのは非常によくわかります。この円高は、つまり、全体の経済でいえば、デフレの中でこういう状況が起きているという状況でございます。
日本の競争力ももちろん落ちておりますが、短期的にいえば、為替相場ですから、相場は相場に聞けという言葉もございますが、この円高では日本の経済にとってはなかなかやっていけないというふうに考えておりまして、政府としては、過度な変動に対しては断固たる措置をとるということで為替介入を断行いたしました。
ただ、現下の状況の中では、各国の状況を見なければいけません。かつての歴史が教えるように、通貨安競争になっては大変でございますので、そういう点も踏まえながら、日本政府としてはとるべき道を考えていく。
ただ、日本にとっては、九〇年代の後半あたりからずっと長期低迷なんですよね。日本だけがデフレなんですよ。そういう実情を各国に理解してもらう。ですから、今回の為替介入についても、議会については、各国の議会ではいろいろな反応がございましたが、アメリカ政府については非常に慎重な物の言い方といいますか、そういう見解といいますか、受けとめでございました。
こういった外交努力も必要である、そして為替を正常な形に持っていきたい、そういう水準といいますか、水準については発言をしないことにしておりますが、日本経済について悪影響を及ぼすようなことはなくしていきたいと考えております。

○谷畑委員 池田副大臣におかれましても、今後ともそういう国際会議があり、日本国内においても、日本のデフレ、それから円高の問題、これがいかに解決のため大事かということを各国に力強く説得をしていただきたいと思いますし、今後ともさらなる努力を期待するものでございます。
次に、この間、景気対策ということで、とりわけ経済産業省におきましては、エコカーの補助金だとか家電のエコポイント、これは非常に大きな成果を上げてきたと思うんですね。内需をずっと拡大しましたし、結構これは、家電製品がよく売れたり、自動車もよく売れたということなんだけれども。
しかし、これから、政府の月例経済報告でも、景気が踊り場に入った、非常に難しい局面にあると。こういう時期に、エコカーの補助金だとか、あるいは家電エコポイントを含めて、中止したり、少し延長するのか、特に家電についてはどうするのか、さまざまなそういう問題があろうかと思うので、この点について経済産業省の方でどういうような認識を持っておられるか、ちょっとお聞きをしたいと思います。

○松下副大臣 御指摘のとおり、エコカー補助金とか家電のエコポイントは需要刺激策として一定の大きな効果があった、こう認識しています。しかしながら、景気対策として緊急的に実施されたものでありまして、需要の先食いを伴っていく、無期限に続けられるべきではない。そういうことで、適切な出口戦略を講じつつ、終了することとしたわけでございます。
具体的には、エコカー補助金については、終了後、販売促進活動等の民間の努力や、来年度まで継続するエコカー減税による下支えを期待。ですから、エコカー減税は実施していくということでつないでいきたいというふうに思っております。
家電エコポイントは来年三月末に終了いたしますけれども、ポイントの過大なお得感といいますか、そのようなものは是正の問題がありまして、二段階の絞り込みによりまして、制度終了後の反動減を最小限に抑えて、ソフトランディングを図っております。ポイントの半減、それから省エネのランクについて、五つ星にしていくということで、継続はしていきますけれども、中身はいろいろしっかりと集中と選択でやっていくということでございます。

○谷畑委員 いずれにしても、こういうエコカーの補助金あるいはエコ家電というのは慎重にしていただいて、今までの経済効果が大きかったものですから、あるいはさらにまた目先を変えた、もう少し景気を、どう需要を喚起できるか、そういう新たな問題もまた検討して次々と途切れなく手を打っていかないと、これから年末で中小企業は緊急融資の問題だとかさまざまな問題が出てきます。
それから、我々も企業を回っていたら、あれ、この間あったのにと、私が回っただけでも、もう二件ほど廃業というのか倒産というのか、そういうような状況の企業もございました。だから、今後とも、さらに経済産業省として留意をしながら、ひとついい方向で、前向きな形で取り組んでいただきたいな、こういうように思います。
次に、これも財務省の関係、あるいは経済産業大臣にもかかわる問題でありますけれども、この間韓国でG20の会議が行われました。私は思うんですが、リーマン・ショック後のG20会議の場合のテーマは、世界を同時不況にさせない、こういうことで財政出動をそれぞれの国が責任を持ってやって景気対策をしろ、それがこの間のG20の会合でしたよね。それで日本も景気対策を次々と打って、その結果、エコ家電だとかエコカーだとか、さまざまな取り組みをされてきたんですね。
ところが、ギリシャ危機というのがヨーロッパに起こって、みんな財政再建だと、特にヨーロッパなどはそういう動きに大きく転換してきましたよね。特にイギリスなどはキャメロン首相の新たなる連立政権ができて、これはもう大変な、十年間で大規模な歳出カットをするんだ、それから消費税を上げるんだ、この二つをやるんだということで連立政権ができた。そのために解散をしないということを約束した。そういうことなんですね。もちろん差はあるけれども、フランスもそうだし、ヨーロッパはそういうように財政再建のところに大きく方向転換がされてきたということなんです。
それでどういうことになってきたかといったら、アメリカにおいても、ドル安ということを、公には公言していないけれども、基本的にはドル安で輸出をして雇用を拡大したい。ヨーロッパもそうです。みんなそれぞれが、自分の通貨を安くして輸出をしたい、そういうことになっているわけですね。そういう中で、余った資金は発展途上国へ行き、そこの通貨を引き上げてしまうことにもなったり、世界自身が、通貨自身も非常に難しい状況になっている。
そういうことで、リーマン・ショック後のG20の会議から、この間の韓国のG20の会議は大きく模様変わりをしている。そういう中で、ソウルで開かれたG20会議の基本的なテーマというのか、何が課題になったか。私も少し触れましたけれども、その点について、だれでも結構ですので、ひとつ発言をしていただけたらありがたいと思います。

○池田副大臣 大変グローバルな話で、G20は現下の状況の中でどのようなことになるかという趣旨だと思うのでございますが、何といっても、その前に既に開かれた蔵相会議がございまして、今、谷畑議員の御指摘のとおり、そこの通貨の問題、各国のバランスの問題、ヨーロッパから発した各国の財政危機の問題、そういうものを集約してどうすべきかというのがテーマであります。
ただ、問題は、G20ですから、先進国と発展途上国及び今BRICsと言われるような国々の利害が違いますから、この前の合意のようなことになるかどうかは予測がなかなか難しいと思いますが、とにかく我々としては、通貨の問題についていえば、先ほどから谷畑さんも同じ考えだと思いますが、これは相互に通貨の切り下げ競争にならないようにやっていかなければいけない。
ただ、日本の立場は非常に微妙でございまして、アメリカは人民元の問題でいろいろ言っておりますが、我々は、やはり今の状況は日本にとっては好ましくないと思っていますから、そういう非常にナローパスな、狭い道でありますが、我々は今の状況について、過度な変動だと為替介入までしたわけですから、そこについて各国の理解を求める、それが日本の政府にとって一番大きな問題であると思います。

○谷畑委員 時間がだんだん迫ってきました。せっかく篠原農林副大臣も来られています。ちょっとAPECの問題、これは私は大事だと思うんですよ。APECというのは、ちょっと見ても、APECに入っている国々のGDPは世界の中で五二%、人口が四〇%、貿易額が四四%と、APECというのはいかに大事か。その中で、日本自身が世界におくれをとるんじゃなくて、先ほど議論がありましたように、TPP、これは非常に日本の国にとってみても大事だと思うんですね。
ところが、農業においては、副大臣、いろいろと意見があろうかと思いますので、まず一言。時間が余りありません、せっかく来られているんだから。

○篠原副大臣 やはり自由貿易も大事ですけれども、農業も大事じゃないでしょうか。
菅総理もいろいろなところで述べておられると思いますけれども、両立を図っていくのが一番いい道だと思っております。

○谷畑委員 農林副大臣、所用があるらしいので、席を立ってもらっても結構です。
もう時間が来ましたので結論を言いたいんですけれども、私は、やはり自由貿易協定をどんどん推進して、そして経済の連携協定もどんどんやっていく、これは日本が生きる道だと思うんです。だから、いろいろな障害があっても、どうしてやっていくかということはお互いに知恵を出して、だからこそ政治力が必要なので、政治の力でこれをまとめ上げることが大事だ。
ぜひ、経済産業大臣、もう一回決意を新たに、何としてもTPPに参加をして、日本は開放された貿易立国として生きるんだ、こういう発言をしていただいて、終わります。

○大畠国務大臣 御指摘のように、日本の国が生き残るためには大変大事な課題であります。
私も、先ほど梶山先生の顔も見えましたけれども、尊敬する梶山静六先生とさまざまな形で論議させていただきました。経済産業大臣として、経済の成長をどう日本の国としてこれからも持続し加速するかということは常に考えていることであります。
そういう中で、FTAもEPAも大事でありますし、その一環としてTPPも、そして最終的には二〇二〇年のFTAAPという形で、まさに谷畑議員がおっしゃるように、日本の国内で活躍する企業が大いに世界展開できるような環境をつくる等、一生懸命頑張っていきたいと思います。
以上です。

○谷畑委員 質問を終わります。ありがとうございました。