衆議院経済産業委員会 ()

○谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。
きょうは、お忙しい中、このようにして我々の委員会に参考人として御出席いただきました西村社長、大橋先生、永井常務、本当に心より感謝を申し上げたい、このように思います。また、貴重な意見、ありがとうございました。
まず、西村参考人、大橋参考人、永井参考人に質問をしたいと思います。
韓国では、一九九八年の通貨危機を契機にして、国内における産業再編を強力に推し進めたわけです。もちろん、国内では大変なデモがあったり、韓国国内でも混乱をしたり、若干、いろいろしましたけれども、しかし強力な政治主導でそれを仕上げてきた。そして、その中で、自由貿易協定等を含めて日本よりも先に行きまして、今日では、半導体でもそうですし、自動車でもそういう勢いで、日本の有力な産業を超えていくという非常に力強い経済成長を行っておるわけです。
ところが、日本は一九九〇年代にバブルがはじけてから、失われた二十年ということで、その間幾つか、経済成長を少しやってはまただめになったりして、繰り返しながら来たわけであります。その中で物すごい閉塞感、そんな感じがしてならないんですね。
これは、政治の指導力が悪いのか、あるいは日本の官僚制度が疲弊して、経済を推し進めていくという機敏な政策がとれていないのか、あるいはまた、企業側も企業側で、どんどんサラリーマン社長になったり、オーナー社長が少なくなったりして、強力なる指導性というものが弱いのか。一体どういう理由なのか。我々自身も、こうして議員をさせていただきながら、非常に反省と苦悩というのか、本当に悩ましい、苦悩を持つわけです。
それで、また今回、こういう東日本の大震災ということで、我々自身も何とはなしに意気消沈するというのか、そんな空気があると思うのですけれども、何か所見というのか、いい意見がありましたら、西村参考人、大橋参考人、永井参考人に少しずつお話を聞きたいと思います。よろしくお願いします。

○西村参考人 西村でございます。
非常に難しい質問でございまして、それがわかっているならもう既にやっているだろうということになりますが、やはり基本は、まず私申し上げましたように、何くそという気持ちが一番大切なんじゃないかなというように感じております。
もう一点は、やはり円高、デフレ。こういう状況を打破していかないと、企業マインドも前向きに進まないのではないかなというように感じております。
まだほかにいろいろあると思うんですけれども、とりあえず、私の感じている点を二点だけ申し上げました。よろしくお願いします。

○大橋参考人 大橋でございます。
私、アカデミックというか、学問の人間でございますので、なかなか実務の方を存じ上げていないところがございますけれども、学問に身を置いている者としてどういうふうに見えるかというところだけ、ちょっとだけお話しさせていただきたいと思います。
思えば、産業政策という言葉があるんですけれども、この言葉というのは、そもそも旧通商産業省の政策でございまして、当時、日本が高度成長するときにいろいろな政策を打ってきた、そのものを総称して呼んでいる名称だと思います。それで、これは世界にもアカデミックな観点からも非常に注目を浴びて、さまざまな形で分析を、我々、同僚を含めてやってきたところでございます。
ただ、そうした中で、一部の我々の同僚から、政府も失敗するだろう、その政府の失敗というものをどう考えるかということについて非常に重大な提起がアカデミック的に出されて、それに対してなかなかいい回答が用意できなかったということが、全体として、産業政策という言葉が我が国においてはなえてしまった一因なのかなとアカデミックの側からは思います。
そうした中で、今回、韓国の事例であるとかブラジルの事例であるとか、さまざまな形でステートキャピタリズムみたいなものが出てきたときに、我々アカデミックとしても、それをどう考えていかなきゃいけないのかというのが実は非常に喫緊の課題でございまして、今回、改めてその問題の重要性を御指摘いただいたところかと思います。

○永井参考人 難しい質問でございますけれども、私が感じましたのは、今回の会社法の制度なども、株式を譲っていただけるのに対して何を渡していくのか、それを自分の会社の株を渡すですとか、あるいは現金で渡すにしても、その手法についてはさまざまな工夫を、特に法曹界の人を中心に考えてこられて、今回使われていますのが全部取得条項つき種類株式、名前を聞いただけだと何を意味しているのかわからないものでございますけれども、これはもともとは、一〇〇%減資をするときに、既に出回っている株式を違う株式にして減らしていくために考え出された、新しい会社法でできた制度でございます。これを使いまして、既に多数の方に持たれている株式を違うものにかえて、しかもそれを現金にするというのを、工夫をさまざまに考えているわけです。
ですから、ある意味では迂遠な方法あるいは迂回路を通じているということでございますが、そこには、税制の問題ですとか、いろいろな制度をいかにうまく利用してやっていくかという工夫が見られているわけです。
特に、アメリカのロースクール、法科大学院などでは、こういったことを、コーポレートタックスとか私企業再編というような授業がもうありまして、そこでみんな、かんかんがくがく、けんけんごうごう議論しながら、どういう制度にすればいいのかというのを所与の条件の中で工夫していくというのを、学生のころ、あるいは、職業大学院ですから職業に直結する形で議論をしている。
こういったことが日本で行われているのかといいますと、私もアメリカにいた経験がございますけれども、それを学校の中で先生を含めて議論しながら、それが実際の実務にも使われていく。こういったイノベーションに対するエネルギーが非常にある。しかも、それは、中国の学生もいれば、韓国の学生もいれば、最近、日本から留学生は非常に少なくなっているというふうに言われますけれども、アメリカの学校に集まって、それがイノベーションをつくり出していく。こういうものが日本にもないと、ブレークスルーするような、技術革新もそうですけれども、法制度の面についてもなかなか議論がしにくいというのを私は感じております。
したがいまして、所与の条件の中でもいろいろな工夫をして、それが抜け道をつくるということになってはいけませんけれども、いろいろな形でイノベーションができる素地というものを日本も何とか整備していただければ、こういうふうに思う次第でございます。

○谷畑委員 どうも本当にありがとうございました。
次に、今回の産活法の本質でありますけれども、国際競争を高めていくためには、企業の再編、結合、合併ということをしっかりと位置づけをして、そしてそれを促進させていこう、こういうことだろうと思うんですね。この間、過去四回法改正をしながら今回に至ってきているということでありますから。
そこで、大橋先生、永井先生に一言ずつお聞きしたいんですが、その合併をするために、過去の大型合併の中で、昨年などは、電炉メーカーの共英製鋼だとか東京鐵鋼などは、一年四カ月協議しながら、結局は結論は出ないし断念という、こういうことが往々にあったわけですよね。住友金属だとか新日鉄の合併ということもこれからあるわけですね。
その中で、協議ということになって、公取と協議ということの中で、主務大臣が国際競争とかを含めてしっかりとした意見を述べて、それで少し審査をスピードアップしたり、公取自身も国際競争ということを考慮するというのが法案の趣旨だと思うんだけれども、しかし、何といったって、公取は公取として、独立機関でもありますし、それなりに消費者の立場、あるいは公平な競争という立場もあると思います。ここらの折り合いというのが非常に難しいと思うんです。
しかし、この法案で効果があるのかないのか、我々自由民主党も、そういう意味で、修正を少し加えて、さらに審査をスピードアップしていこうということを今しておるんですけれども、意見がありましたらぜひ一言ずつお願いしたいと思います。

○大橋参考人 ありがとうございます。
この法律の改正案の、今先生が御指摘された点の一番重要な点というのは、企業結合の規制に関して、専管というか、専属の主体はどこかというと、やはり公正取引委員会が専属して行うというところは非常に重要な点だと思います。なぜならば、やはり企業結合というのは、国際競争力もありますけれども、ほかにいろいろな側面があって、そういうものを勘案して、ある意味専門的な知識を持って判断しなければならないという部分も非常にあるところだと思います。
冒頭でも申し上げましたけれども、そこの部分が、やや短期的な視点、あるいは競争政策などでも価格にちょっと重きが置かれ過ぎてしまっているかなというところで、今回、そこの専門知識の部分は残しながら、産業育成であるとか国際競争力であるとか、そういうふうな観点も、公取にその情報をフィードしながら、今までの視点にはない視点を組み込んで審査していく。
ただ、決定するのは公正取引委員会であるというところの、その筋が守られている限りにおいては、私は大きな間違いというのは生じないのではないかなというふうに考えているところでございます。

○谷畑委員 もう一問だけ質問したいので、ちょっと永井先生、失礼します。
そうしたら、基本的にはそれで大いに前へ進むという意見だったと思います。
それで、西村参考人にもう一つだけ質問したいんですけれども、事業承継というのは私は非常に大事だと思うんです。中小企業の親方というのは苦労してきたものだから、息子にはしっかりと学力をつけて公務員にならせるか一流企業にという、そんなことで、黒字でありながら廃業することが結構あるんですよ。だから、これはせっかくの財産ですから、ぜひ引き継ぎができるようにしていただきたい。
そこで、百八十四社であって、三百五十九社は希望があって、二十七を引き継ぎさせたというのは、非常に不動産の選別から見たら確率が高いなと思って喜んでおります。
一言だけ。結合させるコツがあると思うんですよ、非常に難しいコツが。それを一つだけお願いします。

○西村参考人 やはり結合させるには専門知識が必要ですから、専門知識の方と全体をコーディネートするコーディネーター、専門知識を持っている、税法とかそういうことを御存じの方がコーディネートできるとは限りませんので、そこはチームを組んでいろいろコーディネートしてあげる、そして専門知識を取り入れるというような形が非常に有効だ、かように考えております。
実際、大阪商工会議所でも、二名のチームでまずお話を聞く、専門家とコーディネーターというような形で相談事業を行っております。
以上でございます。

○谷畑委員 どうもありがとうございました。